カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜
「じゃあねー。二人も早く帰りなさいね」

三人を見送ったら生徒会室は本郷先輩と二人だけになってしまって沈黙が重くのしかかる。

「わっ…私も帰りますね!」

「砂雪」

「は…い………」

「なに怯えてんの?」

「怯えてなんか!」

「こっち来て」

「なんでですか」

「怯えてないんだろ?じゃあ来いよ」

一歩、二歩、三歩だけ、会長席に近づいた。

視線をどこにやればいいか分からなくて、二日目にしてすでに見慣れた生徒会室に目を泳がせる。

本郷先輩が会長席からスッと立ち上がったのが分かっていたのに、私はまた動けなかった。

ワンクッション、先輩よりも動作が遅れるだけで、私は逃げ場を奪われてしまう。

先輩に捕えられたらおしまい。
あの目に見据えられたら、あの声で、口調で名前を呼ばれたら金縛りにあったみたいに動けなくなってしまう。

脳が支配されてしまったみたいに逆らえなくなる。
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