俺様御曹司は逃がさない
────── カーテンの隙間から差し込む光が眩しくて、重い瞼をゆっくりと上げた。
熱が引いたのか、すんげえ体がラク。
起き上がって、何やら不穏な空気が流れてくる方を見てみると、今にも死にそうな顔をしている七瀬が、部屋の端っこに突っ立っていた。
「なんだお前、気色悪っ」
「それが夜通しで看病をしたサーバントに向かって言うセリフですか?信じらんない」
「ああそう、ご苦労さ~ん」
立ち上がって、七瀬の方へ向かうと……何故か口元を手で塞いで、俺から逃げようとしている。
ま、そんなの俺が逃がすはずもなく、壁に追いやった。
「で、なにしてんの?お前」
全力で口元を隠している七瀬。夜通しの看病で頭がイカれちまったのか?
「あっ、あのっ、これはっ、あのっ、違くてっ」
顔を真っ赤にしながら、しどろもどろになっている。それがなんつーか……可愛いとか思う俺も、確実にどうかしてんだろうな。
「ふーーん?何が違うわけ~?」
少し屈んで七瀬の顔を覗き込んだら、瞳をウルウルさせて、すんげえ色っぽい顔してた。うん、なんつーかエロい。
なんなの?こいつ。
こんなの、襲ってくれって言ってるようなもんじゃね?バカなの?バカだよな、こいつ。
マジで意味分からんすぎでしょ。