俺様御曹司は逃がさない
・・・・そうか。そんなこと考えもしなかったな。

別に俺は、あいつが何をしでかそうが恥をかくなんてことはない。そんなこと知らん。

さっきのテーブルマナーだって、別に食いたいように食えば良くね?としか思わん。この俺が選んだ女なんだから、んなこといちいち気にしてねえ。

・・・・俺""は""気にしていない……じゃあダメっつーことなのか?


「咲良、悪いけど俺帰るわ」

「あ、うん。分かった」


それだけ言い残して七瀬を追った。あいつらが喋っている声が聞こえてくる。何を話しているかまでは聞き取れない。


「七瀬」


そう呼ぶと振り向いた七瀬は、俺に何かを言いたげだった。そんなことより俺は、七瀬と宗次郎の距離が物理的にも精神的にも近いような気がして、それに苛立っていた。

はっきり言って宗次郎が何を考えているのか、何をしでかそうとしているのかが分からない。こいつは上杉に妬み恨みがあるだろうからな。この俺に対しても食ってかかろうとして来やがる。

──── 誰に向かって、誰のモンに手ぇ出そうとしてんだよ。


「ごめん、九条。あたし戻るから」


・・・・ま、体調悪いっつーのは嘘だったわけね。

七瀬が自らの意志であの場へ戻ると判断したことが、妙に嬉しい反面……宗次郎はあの時、七瀬の気持ちを汲み取って、あの場から連れ去ったっつー事実に腹が立つ。

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