俺様御曹司は逃がさない


──── こいつが俺以外の誰かに抱かれるくらいなら、無理やりでもこの俺が……みたいな感情に駆られた。それが何故なのかはさっぱり分からん。

全てを口実に、今ならこいつの体も俺のモンにするチャンスなんじゃないか……とか意味不な思考になった。

気が立つとか苛立つとか、そいうのを全部通り越して、抑えきれそうにない“なにか”をグッと押し殺した結果……また、こいつを怯えさせている。

俺はこいつと出会ってからどうもおかしい。

自分が自分じゃ無くなっていくような、そんな気がして、それが良いのか悪いかさえも分からん。

俺に押さえ付けられてビビってるくせに、何故か立ち向かおうとしてくる七瀬。

・・・・だから嫌なんだって、お前みたいなタイプ。

何でもかんでも反抗してきて、その強気な感じが危なっかしくて、こいつに何かあったら……そう思うと気が気じゃなくなる。

こういう奴ほど弱くて脆い。

大人しく俺の言うことを聞いてくれよ、黙って俺に守られてりゃいいんだって。

なんで分かんねえんだよ。


────── お前が俺以外の奴に壊される……そんなことは、絶対に許さない。


「そうやって力で捩じ伏せて、女が何でも言うことを聞くと思ったら大間違いだから」

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