俺様御曹司は逃がさない
────── あの一件から数日後。
あいつから連絡は毎日あるものの、会いに来ることはなかった。
拓人にもたくさん謝ったし、あの2000万の借金も本当に九条が立て替えてくれたらしい。
今月からあたしはスマホ代とその2000万の立て替え分を九条に返済することになった。
無理のない程度にしろって素っ気なく言ってたけど、その素っ気ない感じが九条の優しさだってことを、あたしは知ってるし、あたしには伝わってる。
ピコンッ。
スマホが鳴って確認してみると……美玖からだった。
《舞ちゃ~ん。明日暇?》
《うん。とくに予定はないよー》
《マジ?ラッキ~♡明日バイトしなぁい?》
《げ、バイト……?》
《彼氏ん家が海の家やってるんだけどね~?なんか明日急にお偉いさん?の予約が入ったらしくて。急遽バイト雇おう!!ってなったらしく、わたしもバイトすることになったの!!だから、舞ちゃんもどうかな?って♡まだ海とか行ってないでしょ~?飲み放題食べ放題らしいし、時給1500円だって~》
海の家のバイトかぁ……結構楽しそうだな。飲食代も浮いて時給1500円か……悪くない。
何よりあたしは今、お金が要る!!