だって、そう決めたのは私
「で? 何があった。どうせ、カナコのことだろう?」
「うん……でも、大したことじゃないんだ。ただ、カナちゃんが今男の人とご飯食べに行ってるの。だから家に一人でいられなくて」
「あ? それは、別にいいんじゃねぇの? だって、お前ら、そういう関係だろ?」
「そ……うだけど」
「面白くねぇんだろ」
呆れ顔のまぁくんと目が合ったけど、ヘラリと笑うことも出来なかった。剥れて、すぐに下を向いたのは、彼の言うとおりだったからだ。
面白くない。面白くなかった。昼にカナコから電話が入って、同僚とご飯食べに行く、と言われた。そんな会話、分かった、と返せば終わりだった。なのに、百合ちゃんと? なんて聞いてしまったのだ。同僚と言われた時点で、気付けば良かったのに。「あぁ百合の部下の男の子なんだけど」と言われて、頭が真っ白になってしまった。僕らの関係は、そう言った事情には口を出さないけれど、互いに相手が出来た時はすっぱりとやめようと決めている。つまりは、カナコに相手ができたのならば、この生活はすぐに終わるのだ。
「なぁ、宏海。お前結局は好きなんだろ? カナコのこと」
「そんなこと、ないよ」
「ほぉ。随分とまぁ尻すぼみだな。あの頃と同じ目してるぞ」
そう茶化してくるまぁくんは、面白くなさそうにも見えた。本当は、カナコのことをどう思っているのだろう。僕はずっと気になっている。
彼は昔、カナちゃんが好きだったはずだ。いつだって目で追っていたし、今も彼女と話す時は本当に嬉しそうだ。でも、それを問うたことはない。もし口にしてしまって、まぁくんが本気になったら? そんなの、僕が勝てるわけがない。バレないように溜息を吐いて、唇を尖らせながらココアを啜った。
「うん……でも、大したことじゃないんだ。ただ、カナちゃんが今男の人とご飯食べに行ってるの。だから家に一人でいられなくて」
「あ? それは、別にいいんじゃねぇの? だって、お前ら、そういう関係だろ?」
「そ……うだけど」
「面白くねぇんだろ」
呆れ顔のまぁくんと目が合ったけど、ヘラリと笑うことも出来なかった。剥れて、すぐに下を向いたのは、彼の言うとおりだったからだ。
面白くない。面白くなかった。昼にカナコから電話が入って、同僚とご飯食べに行く、と言われた。そんな会話、分かった、と返せば終わりだった。なのに、百合ちゃんと? なんて聞いてしまったのだ。同僚と言われた時点で、気付けば良かったのに。「あぁ百合の部下の男の子なんだけど」と言われて、頭が真っ白になってしまった。僕らの関係は、そう言った事情には口を出さないけれど、互いに相手が出来た時はすっぱりとやめようと決めている。つまりは、カナコに相手ができたのならば、この生活はすぐに終わるのだ。
「なぁ、宏海。お前結局は好きなんだろ? カナコのこと」
「そんなこと、ないよ」
「ほぉ。随分とまぁ尻すぼみだな。あの頃と同じ目してるぞ」
そう茶化してくるまぁくんは、面白くなさそうにも見えた。本当は、カナコのことをどう思っているのだろう。僕はずっと気になっている。
彼は昔、カナちゃんが好きだったはずだ。いつだって目で追っていたし、今も彼女と話す時は本当に嬉しそうだ。でも、それを問うたことはない。もし口にしてしまって、まぁくんが本気になったら? そんなの、僕が勝てるわけがない。バレないように溜息を吐いて、唇を尖らせながらココアを啜った。