バレンタインと恋の魔法
その顔は見せられないくらい涙でぐちゃぐちゃで、真っ赤だったと思う。



「…俺は、朝比奈さんにとってどういう存在?」



瀬名くんは私の頰を両手でそっと包み込むと、見たことがないくらい今までで一番優しく微笑んだ。



「…瀬名くんは、特別な人。誰にも取られたくない。好きなの…」



言い終わると同時に、ぎゅっと力強く抱きしめられた。


瀬名くんの清潔な柔軟剤の香りでいっぱいになる。



「俺もだよ。朝比奈さんが一番特別で、誰よりも好きな女の子だよ」



そっと体を離した瀬名くんが、照れくさそうにへへっと笑った。


そして箱からマカロンを一つ取ると、私の口元に「ん」と差し出してきた。



「一緒に食べよ」


「…うん」



眩しく笑う瀬名くんから食べさせてもらったマカロンは、今までで一番甘くて美味しかった。





マカロンのお菓子言葉…特別な人
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