嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉
アイリスは楽しげに説明する。
そのとき、リーゼロッテはあることに気づいた。
(世界最強の幻獣騎士?)
確かそれは、テオドールの別名のひとつだったはず。
「もしかして、前回の優勝者は旦那様?」
「はい! テオドール様は初出場の十五歳のときからずっと優勝の座を守り続けています。鋭い剣捌きと幻獣との見事なタッグで周囲の幻獣騎士を打ち負かし、それはそれは圧倒的な強さなんです」
「へえ……」
アイリスによると、幻獣騎士団の剣技大会は幻獣騎士と幻獣がペアになって戦うようだ。説明を聞き、リーゼロッテは通常の騎士でいう馬上試合のようなものなのだろうと理解した。
「ちっとも知らなかったわ」
今朝もテオドールと朝食を共にしたのだが、彼からはなんの話もなかった。リーゼロッテが話しかけると「ああ」とか「そうか」とか、一言答えるだけだ。
(仮初の妻に教えるまでもないってことかしら)
飽きたら捨てると明言しているのだから、それも仕方がないことだろう。
「ということで、リーゼロッテ様。剣技大会を、今から見学しましょう!」
「え? でも、わたくしは招待されていないわ」
「剣技大会は誰でも見学可能です。リーゼロッテ様が見に行かれたら、参加している幻獣騎士の皆さんも喜ぶはずですよ。さあさあ、行きましょう!」