婚約破棄?   それなら僕が君の手を

リシェルの奮闘

 ルーナは、今夜開かれている若者が集まるという夜会には参加していなかった。ただ、王宮には来るようにと言われたので、父であるテイラー伯爵と共に会場近くの王宮の客間で待機していた。
 学園の友人であるセイラは、憧れの君である近衛騎士と夜会に参加している。話を聞くとその近衛騎士とは、先日会ったリシェル・ケント公爵子息の兄であるという。まだお付き合いも婚約もしていないが、この夜会のパートナーをお願いされたらしく、セイラは尋常じゃなく舞い上がっていた。学園の休み時間に何かと近衛騎士の素晴らしさを聞かされているルーナは、二人がうまくいくといいのに、と心から願っている。

 父と待つこと1時間ほど、王宮の侍従が客間にやってきた。
「王太子殿下がお呼びでございます。」

 そして二人は別室に案内される。
 そこには、ルーナの婚約者であったジョルジュ・ゲイツと若い女性、そして王太子殿下が長椅子に座っていた。
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