政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない

「それで明花さんとはどこで出会ったの?」
「どこだっていいだろ。話すつもりはない」
「そうはいかないわ。ちゃんと聞かせてよ。タカが結婚を決意するくらいだから、よほど運命的な出会いだったんでしょ? ねえねえ」


美也子はなかなか引き下がらないが、貴俊も答えるつもりがないらしい。何食わぬ顔をしてワインを傾ける。

(愛のない政略的な結婚なんて時代遅れで言いづらいんだろうな)

貴俊に申し訳ない気持ちになる。いくら建築工法を共有できるからといっても、この結婚で得をするのは雪平ハウジングの経営難を救ってもらう明花側であって貴俊側ではない。


「タカが教えてくれないなら明花さんに聞くわね。ね、明花さん、タカとはどうやって知り合ったの?」
「はい、あの……」


彼が知らせたがらないのに、明花が勝手に答えるわけにはいかない。でもだからといってつれない態度をとるのもどうかと迷って悩む。


「仕事関係」


明花が困っていると、見かねたのか渋っていた貴俊が端的に答えた。
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