あなたに出会って世界が変わる

｢美味いか？｣

｢はい。とってもとっても美味しいです。卵のアクセントが効いてて最高です。幸せー。｣

｢夜勤明けのご飯って格別に美味いよなー。｣

｢そうですね。格別です。｣

夏鈴の頬張る姿を陸斗は眺めていた。
ほっぺに米粒がついたので、取ってやる。
夏鈴は驚いたが、怯えている様子はなかった。

お互い食べ終わり、夏鈴は満足そうにしていた。こんなに美味しそうに食べるのに、それさえさせていない夏鈴の家族に腹が立つ。

｢なあー、夏鈴ちゃんは料理何作るの？｣

｢お味噌汁とか、もやし炒めとかですね｣

｢そっかー。ご家族は料理しないの？｣

｢しないです。｣

｢ねぇ、夏鈴ちゃん結構バイトしてるじゃん。家にお金入れてるの？｣

｢はい。｣

｢こんなこと聞くのは失礼かもしれないけど、ご両親はどんな仕事されてるの？｣

｢えっ、、、
サラリーマン？です。｣

｢2人とも｣

｢、、、、はい。｣

夏鈴は俯く。嘘だということはおそらくバレているだろう。だけど、母親はほとんど帰ってこず、父親に虐待受けてることは陸斗に知られたくなかった。

｢夏鈴ちゃん、最後に1つ聞いていい？｣

｢、、、、はい。｣

｢夏鈴ちゃんが男性を怖がるのとご家族はなにか関係あるの？｣

その言葉を聞いた瞬間、

｢ハーハーハー。ないですないです。関係ないです。全く関係ないです。｣

夏鈴がパニックになりかけた。

｢分かった分かった。関係ないな。ごめんごめん。変なこと聞いた。関係ないよな。大丈夫だから。背中さするよ。｣

夏鈴が落ち着くまで、背中をさすり続けた。
店内で注目を浴びたことで、気まずくなり、外に出た。