無自覚な彼女はヴァンパイア様の溺愛に気づかない
もうご飯を食べ終わったのか英語の単語帳を開いていた。

次の休みにテストがあるみたい。

今度、お兄ちゃんに勉強を教えてもらおうかな…。


英語だけ2という驚異的な通知表を思い出しながら
苦い笑みを浮かべる。


もちろん最高が5だから大丈夫なはず…?


「おはよー」


手を合わせていただきますをしてすぐにご飯を口に駆け込む。


「美鈴の可愛い喉が詰まっちゃうよ。」

「慣れてるから大丈夫だよ。それに後々分解させておけば結局変わらないよっ。」

「そういう問題じゃないよ。」


冷静なツッコミをする兄。


「美鈴は華奢なんだから。大切にしないと。」


昔はやんちゃだった私を見守ってくれていた兄が、
最近はよくそんなことを言う。


でも、現在時刻は7時半。
入学式は8時半
電車の移動で15~20はかかる。


入学式で遅刻とかシャレにならない…。

どころじゃないはず。

だから、とにかく食べるしかない。



「げほっんぐぐぐぐ」

「言わんこっちゃない。」
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