888字でコワイ話
第7話 緑色のパジャマ
「いい子にしない子は、おいてきま~す!」
「やだぁっ!」
いそいでぼくは靴をはく。
今日はいとこの賢くんちにお泊まり!
「忘れものない?」
「うん!」
「よし行こう!」
「うん!」
今夜ママは同そう会。
ぼくをおばさんに預けると、ママはすぐにでかけていった。
「信、こいよ!」
「うんっ!」
賢くんはいつもゲームを教えてくれる!
今日も賢くんのおかげで5面まですすんだ。
その晩ごはんには、大好物のコロッケがでてきた。
賢くんちって最高!
その夜、賢くんとお風呂に入ったあと。
あれ!? ちゃんとパジャマもってきたと思ったのに。
おばさんが緑色のパジャマをかしてくれた。
「ありがと、美枝おばさん」
「ちゃんとお礼をいえて、いい子ね」
賢くんとおそろい!
カッ、カッコイイ……!
「信、いっしょにねようぜ」
「うんっ!」
賢くんはもうひとり部屋をもっている。
カッコイイおもちゃがいっぱいあって、カーテンのすきまから差し込む月明りでキラキラ光っている。
いいなぁ、うらやましいなぁ!
「賢くん、明日もいっぱいあそぼ!」
「いいよ。でももうねようぜ……」
眠そうな賢くん。
でもぼくは興奮で眠れない……。
そうしたら、賢くんが話をしてくれた。
「ピーターパンってしってるだろ? このパジャマ、ピーターパンのパジャマなんだって」
「えっ、これが?」
「このパジャマをきて目を閉じてねていると、そこの窓からピーターパンがきて、俺たちをネバーランドにつれていってくれるんだ」
「ほっ、ほんとう!?」
「うん、だから、早くねろよ。明日また遊ぼうぜ……」
それからすぐ賢くんは眠ってしまった。
は、早くねなくちゃ!
ぼくだけおいてけぼりにされちゃう……。
まぶたを閉じて眠くなるのをまった。
ぼくもいっしょに、ピーターパンにつれてってもらうんだ……!
***
翌朝。
子どもたちをおこしに美枝おばさんが賢くんの部屋にやってきました。
「あら、やだ寒い」
まったく子どもたちときたら。
昨晩は窓があきっぱなしだったみたい。
ベッドでは賢くんが布団にくるまってすやすや。
ところが、どうしたことでしょう。
一緒にいたはずの信がそこにいません。
「賢、信くんは?」
「ん、あれ……? え、なんで窓が……?」