優しさなんて自分勝手

躓いて転んだ時、手を差し伸べてくれた人がいたとする。
その手を無視し叩くことは、
一見わがままで人の善意を踏みにじるような行為。
しかし、本当に優しさを受け取らないことが「悪」なのだろうか。

優しさというのは人それぞれなのではないだろうか。
私にとっての優しさがあなたにとっての優しさだとは限らないように。

躓いた時、自力で考え抜いて答えを出したい子にとって、周りがどんなに答えを教えようとそれは優しさではない。

転んだ時、自力で立ち上がろうとしている子がなかなか立ち上がらないから手を貸して立たせたとしても、それは善意に入らない。
優しさとして自分の感情を押し付けているだけだ。

個々のペースがある。

手を引かれる人間は何を感じるだろうか。
速くて息ができない。
ずっと落ち着かない。
そんな時間の苦しさを理解してもらえるだろうか。

立ち上がるのに長い月日が必要な子もいる。
もしかしたら、立ち上がって歩くことだけを進むと考えていないのかもしれない。

逆立ちで進んだり、走ってみたり、ほふく前進したり、全力で後ろに進んでみたり。

それを認めない誰かがいることは知っている。
常に進むことが普通であると時に人は強く主張する。
頑張ることが常だと。
こういう人間が。ああいう人間が。と語る。

優しさなんて自分勝手だ。
私だったらこうして欲しいから、きっとあの子も…
そんなの優しさでも善意でも親切でもない。

あの子はきっとこうして欲しい。だからこうするべきだ。
そんな予想も外れることだろう。


だから人が手を差し伸べることを優しさだとは考えないし、助けることが善意だとも考えない。

ただ、私はこれらの行為の否定はしない。

言いたいのは、善意と呼ばれるものを受け取らない人を怒ったり批難したりするのであれば、最初からしない方がいいということ。

見返りを求めるくらいならそんな優しさ捨ててしまえ。

自分の優しさと相手の優しさがぴったり重なる。

そんな上手い話あるわけないだろう。

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