私が一番あなたの傍に…
「お待たせ…」

「おう。おかえり。俺は注文してから料理ができるまで時間がかかるから、呼び出し用のベルをもらった」

確かにテーブルの上にはフードコートでよく見る、呼び出し用のベルが置いてある。
ラーメンは麺を茹でる時間が必要だ。餃子も同様、焼く時間が必要となるため、こういった時間がかかる料理の時は呼び出し用のベルを渡される。

「そうなんだ。鳴るまで待たなきゃだね」

うどんはその場ですぐに作って渡されるため、時間がかからない。なので、うどんでは呼び出し用のベルを渡されることはない。
なので今は私だけ先に料理がある状態だ。愁の料理が届くまで待つべきか、麺が伸びる前に食べるべきか…。

「待ってる間に先に天ぷらを食べたいから食べない?目の前に美味しそうな料理があるのに待つなんてできない」

愁の言う通り、目の前に美味しそうな料理があるのに食べないのは勿体ない。できれば覚めて伸びる前に食べておきたい。
ここは愁のお言葉に甘えて、先に食べさせてもらうことにした。
幸い愁の分の天ぷらもあるので、一人だけ先に食べるわけではない。二人で一緒に天ぷらだけ先に食べられる。

「確かに。待つなんてできないね。よし、食べよう。…いただきます」

「いただきます…」

ちなみに私はかきあげとかしわ天にした。
それぞれの天ぷらを箸で取った。お互いに最初に箸をつけたのはかき揚げだ。
大きなかき揚げにもう口の中は涎で溢れ返っている。
二人で一斉に天ぷらに口付けた。衣のサクサクにお野菜の甘みが相まって、旨味が一気に口の中に広がっていく。
噛めば噛むほど、良い匂いに鼻腔をくすぐられる。
食欲をそそられるとはこのことだ。箸が止まらない。気がついたらかき揚げがなくなっていた。
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