私が一番あなたの傍に…
唐突すぎる質問に、全く蒼空の意図が読めなかった。
でも、どう想っているのかは、正直に答えた。

「蒼空のことは、頼りになるお兄ちゃんかな。色々助けてもらったし。アルバイトも紹介してもらったし」

それ以上でもそれ以下でもない。まだ私達はそこまで深い仲ではないから。

「そっか。なるほどね」

聞いてきたわりには、素っ気ない返事だ。
より何を考えているのか、分からなかった。

「でも俺は、幸奈にお兄ちゃんって思ってほしくない」

突然、手を掴まれた。
いきなりのことでびっくりし、私は蒼空の手を払った。

「幸奈。俺は幸奈のことが好きだ」

一瞬、脳が何を言っているのか、分からなかった。
数秒後、脳内で繰り返し蒼空の言葉が再生され、今、告白されたのだと実感することができた。

「答えは今すぐじゃなくていい。少しでもいいから、俺のことを意識してほしい。その上で答えがほしい」

そう言われても、私にはもうたった一人しかいない。
でも、今すぐ断れない雰囲気にさせられている。

「それじゃ、また。お先に失礼します」

後から来て、煙草を吸っていた蒼空の方が、先に去ってしまった。
私は一人、ぽつんと取り残されたまま、頭の中は混乱していた。
蒼空が私を好き…。愁の言っていた通りだ。
まだ妹みたいに思われていた方がマシだった。好きだなんて、聞きたくなかった。
きっとタイミングが違っていたら、私は今頃、あなたの手を取っていたかもしれない。
でも、私には愁しかいなくて。愁しか選べない。
これからどう蒼空に接したらいいのか、分からなかった。
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