私が一番あなたの傍に…

4章:不安…〜愁目線〜

俺がまっすぐに幸奈と向き合わなかったせいだ。
だから、この状況は自業自得だ。仕方ないと何度言い聞かせても、俺の心の中は不安でいっぱいだった。
だって、目の前に完璧なイケメンが現れたから。
あっという間に幸奈を奪われるのではないかという焦りが募った。
それに明らかに幸奈に好意を寄せている。それだけは絶対にそう言える。

自分の手元に好きな子を置きたい気持ちは、よく分かる。
でもそれ以外、特に動きがない。それがどうも引っかかる。
警戒しつつも、俺がずっと幸奈の傍に居るから、何もできない。そう高を括っていた。
ライバルはそんなに甘くなかったと、後で思い知ることになる。
その前に俺は、自分の気持ちしか見えていなかったのだと思い知るわけだが…。
まだ何も知らない俺は、自分の気持ちで振り回されていた。


           *


常に幸奈の傍に居ないと、いつか知らないうちに幸奈が奪われてしまうという恐怖から、俺は自分の時間や身を削ってでも、幸奈の傍に居たかった。

「幸奈、お待たせ」

最初の頃は、よく嬉しそうな表情をしていた。
でも、最近は困った表情を浮かべている。

「ううん、全然待ってないよ。迎えに来てくれてありがとう。帰ろっか」

幸奈は優しいから、俺を傷つけまいと話を合わせてくれている。
俺はそれにずっと甘えていた。心の中のどこかでそれでいいとずっと思っていた。
何度もそれを繰り返しているうちに、申し訳ない気持ちがありつつも、このまま上手くいくとどこかでそう思うようになり、幸奈の気持ちに気づかないフリを続けた。
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