私の可愛い(?)執事くん
お泊まり

「じゃあ渚ちゃん、今晩泊まって行かない?」
ずっと聞いていた母が割り込む。
「じゃあってなに、母さん」

「お義父さんと渚ちゃん、
まだ話し足りないかなって。
客間もあるし布団もあるし。
渚ちゃんさえよければ」

「え、」
一瞬戸惑ったがすぐに笑顔になった。
「いいんですか。私、誰かの家にお泊まりって
初めてなんです」
「まぁ、ならとびきりのおもてなしをしないと」
楽しそうなお嬢様と母。

「あ、それなら連絡しないと。
すみません、ちょっと電話をしてきます」
とリビングから出ようとするお嬢様を止めて
自分から言っておくと祖父が出ていった。

料理をする母、布団を準備する父、
リビングに2人きりの時に注意。
「お嬢様、これから先相手から誘われたからといって泊まりとかは慎重にしてくださいね。
純粋な思いだけじゃなく
下心をもって誘う人もいるんですから。
何かあってからじゃ遅いんですよ」
「わかった、ごめんなさい陽。気をつけるよ」

しばらくすると祖父がお嬢様のバックを持っていた。
「どうしたの?それ。まさかこの短時間で
じいやが取りに行ってくれた?」
「流石にこの老体でそんなに早く戻ってこれません。連絡をした後、薫と名乗る執事が持ってきてくれたんです。
用意はメイドがしたから安心して、と。」
「だとしてもこんなに早く?」
「自転車で来たらしいです」
「そうなんだ」

ー夜ー
「夕食、とても美味しかったです。
ごちそうさまでした」
「口にあってよかったわ〜、お粗末さまでした」
片付けを手伝おうとすると断られてしまった。
お客様にそんなことさせられないと。
代わりに陽が手伝いに行く。

夕食後、
「渚ちゃん、お風呂沸いてるし先に入ってきたら?」
「え、いいんですか?」
「もちろんよ。シャンプーとかは適当に使ってくれていいから」
「ありがとうございます。先にいただきます」

入浴後、パジャマと下着の入っていた袋に洗濯する
ものを入れて脱衣所を出る。
「お風呂、ありがとうございました」
「はーい、水分補給に麦茶飲む?」
「いただきます」
(髪は久しぶりにじいやに乾かしてもらおうかな。
麦茶飲んでからでいっか)
「座って待っててね」
お盆に乗せられたきた麦茶。

床で滑って麦茶を頭から被る。
「ご、ごめんなさい渚ちゃん!
コップは当たってない?」
「あ、はい。大丈夫です」
荷物の中からタオルを出して頭とパジャマを拭く。
お母さんはタオルで拭いているのを確認してテーブルと床を拭く。

「ほんと、ごめんなさい。
せっかくお風呂入ってきたのに」
「いえ、ほんとに大丈夫ですから。
あの、もう一度シャワー借りてもいいですか?」
「もちろん。替えの服は持っていくから」
「すみません」
「もともと私のせいだもの。気にしないで」

予備の袋にパジャマを入れて
シャワーを浴びる。
(麦茶だけどもう一回洗っておこう)
洗い終わり、ドアを少しだけ開けて見ると、
替えの服が置いてあった。

同じ下着を身につけて替えのズボンを履く。
紐を引っ張って縛る。
シャツも結構大きなもの。
(用意してくれたものだし我慢しないと)






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