初な彼女と絆される僕
思いがけない告白
勇剛と李依は、守原(もりはら)ホールディングスで働く、営業部の社員。

勇剛は、営業部の第一課の課長だ。
対して李依は、今年入社した新入社員。

入社早々から、李依は勇剛に憧れを抱いていた。

いわゆるスパダリの勇剛。

イケメンで、賢く、更に性格も紳士で申し分ない男性。
憧れを抱かない方がおかしい。


そして今日は、勇剛の誕生日を祝うパーティがレストランを貸し切って行われている。

第一課の社員達が取り仕切り、毎年行われている。
それだけ勇剛は、社員達に慕われ尊敬されている。

新入社員の李依も、初めて参加するのだ。

会場では、女性社員達に勇剛が囲まれている。

「課長!お誕生日おめでとうございまーす!」
「受け取ってくださーい!」

「いつも、ありがとう!」

李依もプレゼントを抱え、勇剛の元へ向かおうとするがなかなか近づけない。

「――――無理よ」
そこに、一人の女性社員が声をかけてきた。
李依の教育係で、二年先輩の藤宮(ふじみや)だ。

「藤宮先輩」

「課長にプレゼントを渡せるのは、一部の先輩だけ」

「そう…みたいですね…(笑)」
(絶対、喜んでくれると思ったんだけどな…)

「後日にしな。
会社で渡すしかないわよ」
藤宮が、李依の抱えている紙袋を指差し言ったのだった。


結局渡せぬまま会が終わり、解散になった。

渡すはずだった紙袋を持ち、トボトボと駅まで歩いている李依。

「中畠ー」
そこに、声をかけられた。

「え?
守原さん?」

同期社員で、勇剛や李依が勤める守原ホールディングスの代表取締役社長の息子・守原 永輔(えいすけ)だ。

「一人?」
微笑み、隣に立つ永輔。

「うん」

「危ないよ?
送ってくから、一緒帰ろ?」

「え?あ、でも…なんか、悪い…」

「は?なんで?」

「彼女さんに見られたら、誤解されるよ?」

「は?誤解されるようなことなの?」

「好きな人が、自分以外の女性と歩いてたらヤキモチ妬いちゃうでしょ?」

「でも、やましいことは何もない。
それに“こんなことで”ダメになる関係じゃない」

「そっか。
そうだよね…(笑)」

李依は微笑み、永輔と帰ることにした。
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