初な彼女と絆される僕
永輔は御曹司ながら、李依達と同様に面接を受け新入社員として入社した。

それは“御曹司”というのに甘えたくないという、永輔の思いからである。

そして永輔は、社員達に“坊ちゃま”と呼ばれている。

その中で、李依だけは“守原さん”と呼んでいた。

永輔からすれば、その“対等に接してくれることが”とても心地よく、ことある毎に李依を気にかけていた。


「――――それ…課長に?」
持っていた紙袋を指差す、永輔。

「うん…
でも、渡せなかった(笑)」

「あー、先輩達が群がってたもんな(笑)」

「うん…
藤宮先輩が言ってたんだけど、渡せるのは一部の先輩達だけみたいだよ」

「ふーん…
変なのー
プレゼントって、渡していいとか悪いとかないだろ、普通。
課長が受け取らなかったとかなら、まだわかるが…」

「まぁ、そうだけど…」

「ちなみに、何を贈るつもりだったの?」

「アロマ」

「へぇー」

「前に課長が言ってたの。
なかなか眠りが浅いって。
だから、どうかなと思って」

「そっか!
いいんじゃない?
課長、絶対喜ぶよ!」

「そうかな?
来週、会社で渡そうかなって思ってる」


そして駅に着き、改札を通ってホームに向かう。
するとそこに、勇剛がいた。

「あ!」
「課長/////」

「ん?
あ、坊ちゃまと中畠さん!
お疲れ様!」
微笑み、軽く手を上げた勇剛。

「……/////」
李依は見惚れていた。

「二人?」

「はい。
中畠一人では危ないから、送ってってやろうかと」

「そっか!」

「課長は帰りですか?」

「あぁ!」

「だったら、中畠お願いしていいですか?」

「え?」
「ええ!?/////」
(な、なな何を!!?
無理、無理、無理、無理!!!)

「あぁ、もちろん!
中畠さん、一緒帰ろ?」

「……/////」
永輔が軽く、李依の背を押して促した。

不安そうに揺れる李依を置いて、永輔は帰っていった。

「中畠さん、家は○○だよね?」
「え?」
(知ってるの!?)

「あれ?違ったかな?」
「あ、いえ!そ、そうです!」

「良かった、当たってた!」
そう言って、勇剛は微笑んだ。
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