初な彼女と絆される僕
電車が来て、乗り込む。

帰宅のピークは過ぎているので、比較的すいている電車内。
二人は、並んで座った。

「……/////」
李依は憧れの勇剛といれることが恥ずかしくて、膝に置いているバッグと紙袋を見つめていた。

(あ、プレゼント!
今なら、渡せるよね?)

「あ、あの!」
「ん?」

「あ……/////」
バッと顔を上げると、何故か勇剛はジッと李依を見ていてバチッと目が合った。

「あ、やっと目が合った!」
「え?え?/////」

「中畠さん、全然僕を見てくれないんだもん(笑)」
クスクス笑う、勇剛。

「あ…す、すみません…/////」
恥ずかしそうに視線を逸らした。

「あ、また、逸らされた(笑)」
「は、恥ずかしくて…」

「でも、仕事中は凛としてるよね」
「え?」

「控え目で目立たないけど、いつも一生懸命で真っ直ぐでしょ?」
「え?え?」

「――――――ずっと、見てたから。君のこと」

「え……」

「中畠さんって、僕の憧れてた()に似ててさ。
なんか、目で追っちゃうんだ!
ごめんね。“ずっと見てる”なんて、なんかキモいよね(笑)」

「そ、そうなんですか?/////」
(ヤバい、嬉しい…/////)

「僕が大学生の時。
近くの中学に通ってた娘なんだ。
ひとつ結びに、赤いリボンをしてて。
その娘も目立つ娘じゃなかったんだけど、友達の話を微笑みながら聞いてて。
いつも通学時間だけだったんだけど、バス停で待ってるその娘が、凄く綺麗で…キラキラしてた。
今思うと、好きだったのかなって!」

「そうなんですね!
素敵な話ですね!
確か課長は、○○大出身ですよね?」
「うん、そうだよ!」

「てことは……」

「△△中の娘」

「え?
私も、△△中学です!
じゃあ、私知ってる娘かな?」

「へぇー!なんか、嬉しいな!
いつも、ひとつ結びに赤いリボンしてた娘だよ?
鞄に、猫か熊かのキーホルダーつけてた」

「赤いリボン、鞄にキーホルダー…?
……………え…そ、それって………」

「ん?知ってるの?」

「……/////」
(わ、私……?)

「中畠さん?」

「あの!
キーホルダーって、これですか?」
李依はバッグの中から、鍵を取り出した。
その鍵についている、猫のキーホルダーを見せた。

「あ!これ!!
じゃあ……君、が…!?」

勇剛が心底驚き、目を見開いた。
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