ひとつ屋根の下、先生とヒミツの研究 (短)
ヘンタイ研究者


*ヘンタイ研究者




私の体に、初めて変化が起きた時。


「お前、一人なの?
俺と一緒じゃん」


綺麗な顔した男の人が、私を優しく包み込んでくれた。

雪の降る中、寒かった私は、だんだん震えが止まってきて。いつの間にか寝てしまった。


「はは、無防備なやつ」


そう言って私を撫でてくれたあなたに、「ありがとう」って、それだけ伝えたくて。

あなたの手が離れていかないよう、白い服を、無意識にぎゅっと握った。


「なに。俺と一緒にいたいの?」


寝てしまった私は、なにも返事ができなくて……。

だから、起きたら伝えたかった。


「ありがとう」の言葉と、

「あんな寒空の下、あなたは一人で何をしていたの?」っていう言葉。


音が雪に吸い込まれてるかのような、そんな静かな夜に。

あなたは胸に何をしまい込んでいたの?って。

次に会ったら、聞いてみたいって。

そう思っていたの――


✲*゚

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