清くて正しい社内恋愛のすすめ

かけがえのないチーム

「ど、どういうこと……!?」

 玲子の声がシーンと静まり返った会議室に響く。

 穂乃莉と加賀見が出張から戻った次の日、国内ツアーチームは二人の報告を聞くために会議室に集まっていた。


 昨日帰りの空港で、穂乃莉はみんなへの報告をどうするか、加賀見と話をした。

「課長には軽く報告はしてるけど、穂乃莉が支配人にされたことまでは話してない。課長も相当心配してたから、いずれ事実は話した方が良いと思う。でも、どうするかは穂乃莉が決めればいい」

 加賀見はそう言いながら、穂乃莉の手をギュッと強く握った。

 加賀見は穂乃莉を気づかって、相田からの電話に詳細を伝えずにいてくれたのだろう。

 そんな加賀見の優しさに、勇気をもらえた気がした。


 ――加賀見が一緒なら、私は強くなれる。


 手のひらに伝わる加賀見のぬくもりをはっきりと感じながら、穂乃莉はみんなにすべて話すことを決めたのだ。

 それに、あれだけ必死になって作り上げたプランが白紙になったのに、理由も聞かされなければ、みんなだって納得はできないはずだ。

 加賀見は穂乃莉の考えに、静かにうなずいてくれた。
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