清くて正しい社内恋愛のすすめ
 穂乃莉が久留島の孫娘だからと、遠慮する社員が多い中、玲子は初対面から普通に接してくれた。

 その影響もあって、今では穂乃莉を特別扱いする人は誰もいなくなっている。


「あいつらのためにも、残りの三ヶ月よろしくな」

 相田は穂乃莉に笑顔を向けると優しく肩をポンと叩き、「用事があるから」と片手を上げて別のフロアへ向かって行った。

 穂乃莉はぼんやりと相田の背中を見送る。

 相田には大人の余裕というか、色気のようなものが漂っているが、プライベートは全く謎に包まれていた。


 ――課長って、どんな恋愛してるんだろ?


 ふと、そんなことを思い浮かべながら、エレベーターへと向かって廊下を進む。


 すると目の前を、厚みのある資料ファイルを片手で持った加賀見の姿が横切った。

 きっと資料室にファイルを戻しに行くのだろう。

 穂乃莉は急に駆け足になると、加賀見の後を追って資料室へと向かった。
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