清くて正しい社内恋愛のすすめ
 聞き返した東雲に、白戸は小さくほほ笑むと、テーブルに片肘をつき顎先を乗せながら、ぐるりと室内を見回した。

 一般のレストランとは違い、古い洋館の一室のような個室は、壁に沿って豪華な調度品が並ぶ。

 白戸はそれらにうっとりするような視線を向けた。


「ここって会員制のレストランでしょう? 私こういう所、ずっと憧れてたんですよねぇ。あっ、タバコ吸っていいですか?」

「えぇ、構いませんよ」

 白戸は鞄から飾りのついた煙草ケースを取り出すと、慣れた様子で一本口にくわえる。

 横から斎藤がそっとライターを向けた。

「お嬢様って、いつもこういう生活してるんですね」

 白戸は白い息を吐き出すと、くすくすと声を上げて笑った。


「あなたはなぜ、加賀見くんにこだわるのですか?」

「それは、東雲社長が久留島さんにこだわるのと一緒じゃないですか?」

 白戸は楽しそうに再び煙草を口に運ぶ。

「加賀見さんほど完璧な人、他にいないんですよ! イケメンだし仕事もできるし、みんなからの信頼は厚いし。それと、なんか雰囲気がイイとこのお坊ちゃんって気がするんですよねぇ。実は御曹司だったりして! そうしたら完全にあたりでしょう?」
< 255 / 445 >

この作品をシェア

pagetop