清くて正しい社内恋愛のすすめ
「弊社も新たなスパ施設の建設に向けて、土地を探していたところでした。そこへ久留島不動産の資金難の話が舞い込んだ。利害の一致ということです」

「ちょっと待ってください!」

 穂乃莉は東雲に詰め寄った。


「巨大スパ施設だなんて……。そんなことをされたら、ここの温泉街のイメージが完全に変わってしまいます。久留島も他の旅館も非常に困ります」

「そうですね。そこが僕も頭を悩ませている所なのです。ただ弊社が得意とするのはスパリゾート開発。それに……」

 東雲は鋭い瞳を穂乃莉に向ける。

「こんなことで、久留島本店の経営に影響が出ては、元も子もありませんし」

「え?」

 穂乃莉は、はっと息をのむ。

 それは暗に、東雲の開発が進めば久留島の経営が悪くなることは、承知済みだと言っているようなもの……?


 東雲は口元を引き上げると、祖母を振り返った。

「久留島社長。そこで一つ提案なのですが、我々のグループを統合するというのはいかがでしょう? 東雲グループと久留島グループの統合です。そうすればお互いの長所を生かし、今後の開発をさらに良いものに進めることができます」

「何を言っているんですか!? そんな横暴なこと、いきなりできるわけがないじゃないですか!」

 穂乃莉は再び東雲に詰め寄る。
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