清くて正しい社内恋愛のすすめ
「とことん“東雲”を堪能するだけのツアー、かな」

 静まり返った会議室で、みんなはペンの動きをじっと目で追っている。

 加賀見の説明はこうだった。


 ツアープランに組み込まれた宿泊だと、お客様は観光地を巡り夕方ホテルに到着する。

 そして次の日の朝にはチェックアウト。

 つまりいくら上質なホテルが用意されていても、時間的な制約もあり、結局は寝るだけの場所になり兼ねないというのだ。


「“東雲”の一番の売りは温泉と併設されてるスパ施設。でもそれだけじゃない。自慢の広大な庭園と、その奥には植物園もある。そして近隣には“東雲グループ”の商業リゾート施設」

「確かに、それだけの施設をツアーのお客様が回るのは不可能……」

「そういうこと」

 穂乃莉は思わずうなりながら、加賀見の顔をじっと見つめる。


 今まで観光地を巡るツアープランを考えるのが、自分の仕事だと思って取り組んできた。

 でも結局はそこにこだわりすぎて、別の視点で見ることを忘れていたのかも知れない。
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