清くて正しい社内恋愛のすすめ
「でも、ありがとうね。加賀見のおかげで、この温泉街もまた一つに戻れる」

 加賀見は口元に弧を描くと、にんまりとうなずいた。

「じゃあ俺の努力も無駄じゃなかったって訳だな」

「その通り!」

 穂乃莉が人差し指をぴんと立て、二人は再び声を出して笑い合う。


「穂乃莉の方は? 改修工事はうまく進めそうか?」

「うん。本社から応援のチームが来てくれて、なんとか早めに形に出来そうだよ」

「そうか。じゃあ、あとは課長たちの状況次第だな」

「そうだね」

 加賀見はしばらく穂乃莉の髪を愛しそうに撫でてすくっていたが、そっと腕を伸ばすと穂乃莉に「おいで」とささやく。


 穂乃莉はゆっくりと身体を起き上がらせると、加賀見の首元に両腕を回し、上からぎゅっと抱きついた。

 ドキドキと早く鳴り響いているのは、穂乃莉の心臓だろうか?


 ――それとも、加賀見?


 でも次第にそんな事を考えられない程、身体の芯が熱くなってくる。

 そしてその答えが出る前に、二人はお互いを求め、深く鼓動を重ねていった。
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