変人令嬢のお陰で辺境編成は大激変! 周辺に生息しているメルヘンなもふもふたちよりも可愛いがすぎる新妻に、辺境伯の偏愛が大変です!

第一話 うちのこと、笑わへん?


「プッ、お姉様、結婚が決まったんですって? それもあの成り上がりのデコラム辺境伯! 

プーックスクスッ! いいじゃない、泥遊びが大好きなお姉様にはもってこいの超ど田舎じゃないの!」



そ、そんな言い方……。



「ベアトリス、そんなに笑うものじゃありませんよ。旦那様がいろいろ考えた結果なんですから。ねぇ、あなた」

「ああ、国内の騒乱が落ち着いた今、娘たちにはいい嫁ぎ先を見つけてやらねばならん。

相手は内乱に乗じて名を上げた成り上がりの下級貴族の出。由緒ある我がヴィリーバ子爵家には相応しい縁組とは言えんが。

まあ、それでもマーガレットをもらってくれるのだ。良しとしよう」

「ねえ、お父様、私の時にはもっとたくさんの持参金を積んで下さるわね? 嫁ぎ先で肩身の狭い思いをするのは嫌ですわ~」

「当然だとも、ベアトリス」

「私は婿養子をもらう立場だから気楽でいいわ! どこぞの馬とも知れない兵士上がりの辺境伯なんかじゃなければね」



お、お姉様まで……。



「まあ、エリスったら! 旦那様がそんな婿殿をあなたに寄こすはずがありませんよ。ホホホ」 

「エリスより先に嫁に出すのはいささか外聞が悪いが、マーガレットはもう十四。それなりに自分の立ち場を理解しているはずだな。

いいか、変人と曰く付きのお前をもらってくれるというのだ。デコラム辺境伯とはせいぜい仲良くやることだ。

辺境地域の警戒網を一手に引き受けているという猛者だからな。どれほどの粗暴な男かは知らんが、まあ国王陛下には覚えがめでたいらしい。

獰猛な熊のように恐ろしかろうが、暮らし向きがどれほど厳しかろうが、戻って来ようとなどとは考えるなよ。マーガレット、いいな?」

「そうよ、マーガレット。あなたのような無口でひとり遊びばかりにかまけて、誰とも上手に関われないような令嬢が出戻ったところで、この先いいご縁なんて一つもないのよ」



は、はい……、お父様、お母様……。



「はーっ、せいせした! こういってはなんですけれど、お姉様が片付いてよかったですわ!」

「ほんとうね! あなたの評判が私たち姉妹の縁談に障らないかと心配していたんだもの。がんばりなさいよ、マーガレット!」

「辺境の地でお幸せにね! お姉様の好きな獣や虫や、役にも立たない雑草がきっとた~っくさんありましてよ!」

「クスクスッ! いやねぇベアトリスったら!」

「あ~ら、本当のことですわ!」



……そ、そう、かも……。結婚は……不安……。……けど、新しい動物や植物にもっと会える、かも……。








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