Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
ー『どういうことですか?』
ー『言葉通りだ。今回のステージは無しだ。』
朝にかかってきた師匠からの電話。それは今日のギターソロステージの出番取り消しの内容だった。
ー『最近のお前の音聞いてりゃ分かる。不調どころじゃねぇ、絶不調だ。』
やはり師匠にも気づかれていた。
ー『今回はしっかりできます。だから、』
ー『ダメだ。この状態でステージ立っても余計に自分へのプレッシャーになる。体調面や精神面、よくケアしてからだ。』
返す言葉が思い浮かばなかった。
だってその通りだから。今、完全なるスランプに陥っている。
自分でも満足できないのにお客さんを盛り上げるような演奏ができるはずがない。見に来てくれている人たちに申し訳がない。
ー『………分かりました。』
ー『勘違いするな。お前は下手じゃない。一時、調子が悪いだけだ。安心して休め。』
僕の落ち込んだ声を聞いた師匠がそう言葉をかけてくれた。
ー『はい。』
テスト前最後のステージが無しになった。
あのまま立っていてもいいステージになるとは自分でも思わない。
それでも出番がなくなったのは悔しい。
ステージに立てるレベルじゃない。
そんなふうにしたのは自分自身だ。
恨むなら自分を恨め。
「立て直さないと……」
テスト、練習、歌い手活動、ギターサポート、ソロ、
全部……頑張らないと。
僕の取柄は音楽しかないんだから。