Dying music 〜音楽を染め上げろ〜




小走りでMidnightの裏口に入ると、杏樹さんがソワソワしながら立っていた。



「あ!来た!おっそいよぉ~!」

「ごめんなさい!裏ってもうスタンバイできてます?」



ギターをケースから取り出しながら聞く。



「佐々木くんが全部やったよ!マイクチェックだけ自分でお願い!」

「了解です。」



大急ぎでチューニングをする。電車に乗り遅れた上にコイツらに構っていたらこんなギリギリになっちゃった。



「如月くんこれって、」

「ここではナツって呼んで。」

「ナツくん、これって?今から何するんだ?」

「見てわかるっしょ。ライブだよライブ。俺のギターソロステージ。」



ギターと音源の準備をしながら説明をする。あれ、シールドどこだ。あ、あったあった。ヤバいな、マジで時間ない。音源繋いでいたら練習もできないな。



「杏樹さん、この3人後ろのほうにお願いします。」

「どういう、」

「その人についていって。」


あとは杏樹さんに頼んで通路を進んだ。


マイクは…OK。ピックもあるし、大丈夫だ。エフェクターはさっき裏から確認したからトークしているあいだに調整すればいいな。息を整え終えてからステージに上がる。



「こんばんは。ナツです。遅くなってすみません。」



マイクを通す。お客さんが手を振って俺の名前を呼ぶ。



「今日は、ギターソロでやらせてもらいます。」



杏樹さんに合図を送る。


♪♬♪♪~~♬♪---~


演奏開始。

今回は本当にギターソロだけ。流れてくる音楽のギターパートをアレンジしながら弾く。

みんなが好きな速弾きや転調を加えて盛り上げる。

間奏部分はアドリブアレンジ。

お客さんも盛り上がってるな。



……この調子で最後までいこう。
< 26 / 153 >

この作品をシェア

pagetop