人嫌いと聞いていた王太子様が溺愛してくるのですが?~王太子妃には興味がないので私のことはどうぞお構いなく~
第一章 スノウ、自由に過ごす
 父から後宮行きの打診を受けて、ひと月。
 準備を整えた私は、満を持してシリウス王子の後宮へと入った。
 私が後宮へ行くことについては、領地から帰ってきた母が猛反対したが、もう決まったことだと父に告げられ、夫婦喧嘩を繰り広げていた。
 母は強い人なのだ。それに父は政略結婚にもかかわらず母に惚れきっているので、喧嘩したところで勝てるはずもない。
 最終的には「すまない。私も嫌だったのだ」と母に泣きついていた。
 母と一緒に帰って来た弟も心配そうに私を見ていたが、すでに決まってしまったこと。
 母と弟を(なだ)め、父からは「一年経ったら帰ってくるんだぞ」という力強い応援を受け、私は後宮へとやってきた。
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