呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 お父様は偉大なる帝国の皇帝陛下だというのに、剣さえ抜いて構えず、一言も言葉を発することができなかった。
 私たちが反撃できないと思ったのか、お姉様は毒の神とともに、近づいてくる。

「ち、近寄るな! 近寄るなぁ!」
「お姉様に殺されるわ! お父様、私を守って!」
「馬鹿者! 皇帝を守れ!」
「そ、そんな!?」

 私を前に押し出し、お父様はぶるぶる震えていた。
 そういえば、お父様は戦場にでたことがなく、命じるだけだった。
 剣を持ったところさえ、見たことがない。
 いつも危険な場所には、お兄様を行かせていた。

「お父様。兵を退いていただけますか?」
「わ、わかった。そのつもりだ」

 にこっとお姉様は微笑んだ。
 
「でも、お父様。圧倒的に不利な状況で、兵を退却するだけ終わるとは、思いませんよね?」
「なんだと!?」

 お兄様が前に出る。

「父上。皇帝の地位から退いていただきたい」
「ラドヴァン! お前が皇帝になろうというのか……!」

 お姉様がずいっと前に銀の蛇を差し出す。

「ひえっ!」

 私を見捨てて、お父様だけが体を逃がす。

「お父様。これは取引です」
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