30歳まで✕✕だった私はどうやら魔法使いになったようです
美加はフォークからパスタが落ちていくのを見て愕然としてしまった。

何気なくこの力にも慣れてきて、この生活にも慣れてきたところだったのに、終わりがあるんなんて考えてもいなかった。

でも、思えばそれは当然のこと。
始まりがあれば必ず終わりがやってくる。

美加の持っている力だって例外ではなかった。
「最近頑張ってるし、もしかしてその日も近いかもよぉ?」

茶化してくる麻子に美加の顔はまた真っ赤に染まる。
力を失うこと、すなわち処女じゃなくなるということだ。

「そ、そんなことしないし!」
と否定したものの、じゃあ死ぬまで処女なのかと聞かれてもそれも微妙だ。

もっと良い返事がないものか考えていたとき、社食の入り口で声が聞こえてきてふたりは同時に振り向いた。
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