踏み込んだなら、最後。




とりあえず言われたとおり手を洗って、小走りにリビングへ。



「絃(いと)お姉ちゃん!」


「わっ!ゆきは…?ひさしぶり~!うそー、ちょっとちょっと私の背抜かしたんじゃない?」



かつて施設にいたお姉ちゃんが久しぶりに帰ってきた。

絃お姉ちゃんは私より7歳年上のお姉ちゃんで、小さな頃はよく遊んでもらったものだ。


このひまわり園の職員として働く佳祐お兄ちゃんもこの施設で育って、絃お姉ちゃんとは兄弟のように育った同い歳の家族でもある。


たとえるなら私とシロちゃんのような。



「絃お姉ちゃんひとりで来たの…?」


「そだよ~。旦那は常に忙しい人だし、今日は息子もおじいちゃんに預けてあってね。あっ、そうそう」


「…?」


「これ、旦那からみんなによろしくって」



わあっ!と、お土産だったりには目がない子供たちがいっきに囲んできた。



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