レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
「金に目がくらんでる人の御しやすさったらないよね~。王様、怪しい魔導師を簡単に王城の奥まで招き入れた自分の無能さをせいぜい悔やみなよ。じゃあね~」
「貴様……! この私を愚弄するなぞ、許すわけには……」
父王の叫び声は、魔導師が指を打ち鳴らした瞬間に聞こえなくなった。
「――きゃっ!?」
次の瞬間、ノツィーリアは広いベッドの上に落とされていた。突如として尻餅を突かされる形となり、予想外の姿勢の変化に頭が混乱する。足を投げ出す姿勢となったせいで、サンダルが脱げてシーツの上に転がった。
ノツィーリアの傍らではルジェレクス皇帝があぐらを掻いていた。ノツィーリアたちがいるベッドから少し離れた床の上には魔導師とユフィリアンが降り立っていた。
何が起きたか分からず、素早く辺りに視線を巡らせる。
「ここは……?」
「余の寝室だ」
「えっ!?」
一瞬前までレメユニール王国の王城にいたというのに――。信じがたい出来事に、ノツィーリアは思わず声を張り上げてしまった。
「ではここは、リゼレスナ帝国ということですか!?」
「ああ」
皇帝が軽く頷き、さも当然のように答える。彼らにとっては珍しいことではないのかも知れない。
ほとんど体に何も感じることなく、まばたきをする間に長距離を移動させられた。山脈を越え、隣国をまたぎ、さらに海峡をも瞬時に渡ってしまった――。理解を越えた現象に、魔法というものの恐ろしさに畏怖を覚えずにはいられない。
自分を抱き締めるようにして、震えをこらえる。再び部屋を見回すと、そこには先ほどまでいた部屋と同じく、望遠鏡型の魔道具が備え付けてあった。
(あの魔道具は……!)
『助けてもらえた』などと思い込み、浮上しかけた心がたちまち揺らぎ出す。元より自分は大金で買われた身だった――。そんな重大なことを一瞬でも忘れてしまった自身に失望せずにはいられない。
「貴様……! この私を愚弄するなぞ、許すわけには……」
父王の叫び声は、魔導師が指を打ち鳴らした瞬間に聞こえなくなった。
「――きゃっ!?」
次の瞬間、ノツィーリアは広いベッドの上に落とされていた。突如として尻餅を突かされる形となり、予想外の姿勢の変化に頭が混乱する。足を投げ出す姿勢となったせいで、サンダルが脱げてシーツの上に転がった。
ノツィーリアの傍らではルジェレクス皇帝があぐらを掻いていた。ノツィーリアたちがいるベッドから少し離れた床の上には魔導師とユフィリアンが降り立っていた。
何が起きたか分からず、素早く辺りに視線を巡らせる。
「ここは……?」
「余の寝室だ」
「えっ!?」
一瞬前までレメユニール王国の王城にいたというのに――。信じがたい出来事に、ノツィーリアは思わず声を張り上げてしまった。
「ではここは、リゼレスナ帝国ということですか!?」
「ああ」
皇帝が軽く頷き、さも当然のように答える。彼らにとっては珍しいことではないのかも知れない。
ほとんど体に何も感じることなく、まばたきをする間に長距離を移動させられた。山脈を越え、隣国をまたぎ、さらに海峡をも瞬時に渡ってしまった――。理解を越えた現象に、魔法というものの恐ろしさに畏怖を覚えずにはいられない。
自分を抱き締めるようにして、震えをこらえる。再び部屋を見回すと、そこには先ほどまでいた部屋と同じく、望遠鏡型の魔道具が備え付けてあった。
(あの魔道具は……!)
『助けてもらえた』などと思い込み、浮上しかけた心がたちまち揺らぎ出す。元より自分は大金で買われた身だった――。そんな重大なことを一瞬でも忘れてしまった自身に失望せずにはいられない。