レンタル姫 ~国のために毎夜の夜伽を命じられた踊り子姫は敵国の皇帝に溺愛される~
(場所が移っただけで、結局ここでも慰みものにされて、その姿を大勢の人々に見られてしまうのね)

 全身に震えが走り、涙が込み上げてくる。

(そうか私、捕虜になったんだ。何をされても拒めるはずがない)

 そこまで考えてから、ふと自分に捕虜としての価値すらないことに気づく。父王や妹は既に捕らえられた。おそらく今ごろ義母である王妃や他の王族たちも続々と捕縛されていっていることだろう。彼らに帝国兵にあらがうだけの武力はない。
 ノツィーリアを()()にして何かしらの交換条件を持ち掛けるなどという、その交渉相手はもはやどこにもいないのだ。

 そもそもまだ交渉段階にあったとして、父王たちが自分を助けるために何かしらの譲歩をするはずがない――。改めてそれに気づけば、お務めに臨むとき以上の苦しみが心を締め付けはじめる。

(私の利用価値といえば、せいぜいここで慰みものになるくらいしかない)

 この身を差し出したところで、冷徹皇帝がレメユニール王国の国民に危害を加えずに済ませてくれるだろうか――。
 だとしても、どんなに無慈悲な仕打ちをもすべて受け入れて、国民の保護を願い出ようとノツィーリアは決意を固めたのだった。
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