冷たい城の番人
庭園内に眩しい光が差し込んだ。
少し遅れて、それが車のライトだとわかる。
耳元で小さな舌打ちが聞こえた。
「遅かったか。……お前、こっちに来い」
「っ、え……」
低い声とは裏腹に優しく手を引かれれば、あんなに強ばっていたはずの足がすんなり動いた。
ライトアップされた花壇を抜けると、大きな銅像のようなものがあり、彼はその裏側に回ってわたしを座らせた。
「息、殺して」
命じられるままに唇を噛む。
やがて、足音がこちらに近づいてきた。
……おそらく二人。
「お疲れ様です。来世様」
聞こえてきた会話に、ドクリと心臓が跳ねる。
来世様が帰ってきたんだ。
「おい、リョウはいないのか」
「リョウ様が出迎えにいらっしゃらないのは初めてですね……。なにかあったのでしょうか。電話を掛けてみます」
隣ですばやくスマホの電源を落とす気配がして、彼がその“リョウ”なのだと理解した。
どうやら、わたしは見つかってはいけない状況にあるらしい。
握りしめた手に汗が滲む。


