スパダリ航海士は契約妻を一途に溺愛する。
3.帰省


「――ただいまー」


 次の日、三日間お休みをとっていた私は久しぶりに実家に帰省していた。


「おかえり、早かったのね。電話してくれたら迎えいったのに」


 家に入ると、お母さんがちょうど作業をしていた。


「歩きたい気分だったの。お兄ちゃんも帰ってるの?」

「うん、昨日ね。ハナちゃんも一緒に」


 ハナちゃんとは、私の兄のお嫁さんだ。


「百々芭は、いい人いないの?」

「いないわよ。今は仕事が恋人なんだから」


女っ気もなかった兄は、去年、突然結婚した。
ずっと兄に向けられていた結婚の催促は、現在独り身の私に向けられている。


「また、そんなこと言って……! そんなこと言ってたら、結婚できないわよ」

「いい人がいたら結婚するけど、いないもん。仕事以上に好きになれる人ならいいんだけど」


 そんな人、現れないと思うし仕事以上に好きになる人なんてできるなんて想像が出来ない。


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