ブラッドレッドの繋がり



「あ、政喜ー!来たー!?会館の方男手足りんから行ってー!!」



と、本家の伯母さんがリビングにひょっこり顔を出して叫んでいる。



「ユキちゃんは此処にいて待ってて良いからね。暇でしょ?そのソファーで寝ながらテレビでもつけて勝手にしててね。」



優しく話してくれる私に、返事もする前に伯母さんがまた居なくなる。

政喜という男の人は吸っていたタバコをグリグリ灰皿に押し付けて、席を立って私を見る。






「ユキか。大きくなったな。」





と、遠い記憶で見たことあるような笑顔を私に向けて直ぐに消えていった。


目に見えるタバコの煙がまだ残っている。





政喜という人が座っていた場所にタバコに火をつけたシルバーのライターがキラリと光って落ちていた。

なんとなくそれを拾って、ブレザーのポケットに入れてみる。


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