名ばかりの妻なのに、孤高の脳外科医の最愛に捕まりました~契約婚の旦那様に甘く独占されています~【極甘婚シリーズ】
(って思ったけど、晴れじゃん……)
翌日、祐飛が運転する車の助手席から見た空は、どこまでも青かった。
八月に入り、夏も本番。
照りつける太陽は街を灼熱のコンクリートジャングルに瞬く間にに変えていく。
この日、祐飛が雛未を連れてやってきたのは、サウスエリアにあるショッピングモールだった。
(何か買いたいものでもあるのかな?)
目的を教えてもらえないまま、しずしずついていくと、祐飛はおもむろに二階の女性向けブランドショップへ入っていった。
店内をスタスタ歩いていき、一番奥にあるバッグが並べられた棚の前で立ち止まる。
「どれにする?」
「……え?」
雛未はポカーンと口を開けた。
どれにするもなにも、今のところバッグを新調する予定はない。しかも、ゼロが五個も六個も並ぶような、こんなお高いお店で。
「どれにするって……どういうことですか?」
「欲しいものをひとつ選べ」
「選べって……。まさか、祐飛さんが買ってくれるんですか?」
「花火に遅れたことをまだ怒っているんだろう?」
「はい?」
バッグを買うことと花火に遅れてきたことがどう繋がるのか、さっぱりわからない。
訝しげに祐飛を仰ぎ見ると、ため息混じりに説明してくれた。