名ばかりの妻ですが、無愛想なドクターに愛されているようです。

(一週間前に知り合ったばかりなのに……)

 祐飛と顔を合わせるのは今日で三回目だ。
 出会ってからまだ日の浅い男性とこんな風に肌を晒し合うなんて、いつもの雛未からは考えられないことだ。
 結婚すると決めたのは他ならぬ自分だけれど、身体の関係を持つことまで許容した覚えはない。
 それでも、祐飛を突き飛ばして部屋を出て行かないのは、制止のセリフが嫌悪感からではなく羞恥心からきているからに違いない。

「ほら、腰を浮かせろ」

 雛未の胸の内など、知ってか知らずか。それとも、本音をとうに見透かしているのか。
 祐飛は雛未の服をひとつひとつ丁寧に脱がしていった。
 雛未も今度は抵抗しない。
 どうしたって祐飛のペースにのせられてしまう。

 ほんのり赤く色づいた素肌を舐められ、齧られ、吸われて、きゅうっと身体の中心が熱くなっていく。
 雛未はその度に祐飛に縋りつき、悦びの声を上げた。
 グズグズに蕩けた身体を押し開かれ、とうとうひとつになった時には、祐飛の体温が心地良いとすら感じていた。

(『あの人』に会うため……なんだから……!)

 身体の中を蠢く祐飛の甘やかな律動に身を委ねながら、雛未は本来の目的を忘れないよう必死になってもがいていた。

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