まどろみ3秒前

「ごめん。…1週間も寝ちゃってたみたい。さすがに、寝すぎちゃったなーなん、て…」


いつも通りに平常を偽って笑みを浮かべようとしたが、口角が上がらなかった。

震えている声と体でわかる。嘘でもなく、私のように浮かべているものではなく、彼は本当に私のことを、待っていてくれた…

浮かべていた笑いの仮面が、今、剥がれ落ちた気がした。この瞬間は、どうでもよくない。ありのままで生きたいと思ったから。


「…っ付き合うとか結婚とかどうでもいいから……俺、翠さんのこと大好きだから……」


少し鼻声で、涙声だった。

どうして、そんなに私を好きでいてくれるの?私が朝くんなら、長く眠るとかの意味わかんない病気持ちの奴なんて、面倒くさいし関わろうとも思わないし、好きにならない。

増してや、特に顔もよくないし、繕って笑ってばかりで話も面白くないような奴で。

こんなにも情けない私を、どうして好きでいてくれるのか、私にはわからない。


「俺は、一緒に死にたいだけだった。…っでもほんとに好きみたいで…だから先に、死なないでほしくて…1週間、苦しかったんだよ…」


こんな朝くんを見たのは、初めてかもしれない。

震えている彼の背中に手を置いて、精一杯に抱き締め返した。「ごめん、ごめん」と何度も謝りながら。
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