まどろみ3秒前
昔からの幼なじみだったんだ。私は家を引っ越し、高校も離れ離れ。話す機会を一切失い、今、生きているのかすらもわからない。
「翠?ねぇ翠!!!」
しつこかったと思う。自覚はしてた。
それでも、私は追いかけてた。
トイレで話してたし、聞こえてないと思ってた。後から知ったが、聞こえていたらしい。
彼女のことを何も知らず、知ろうともせず、私は彼女を傷つけた。
「ねぇ、柚」
ある時、彼女は私に振り返った。
死んだような、生き絶えた魚のような目。
時間。彼女にとって、最も大切なもの。
私といた時間の記憶の様々。その全てが、壊れてしまったように思えたんだろう。
「全部もう、どうでもいいんだよね」
「…えっ」
「この時間も無駄。誰かと接して笑う感情も全部、無駄なことに気づいちゃったー。いつか失う記憶なのに、どうして誰かと接して生きるの?」
返す言葉はわかっていたのに、どうして何も言えなかったんだろう。あたしは、本当に、弱虫だ。今までも、強がりの偽善者だった。
ただ、周りからのイメージやキャラのため、彼女を守り、親友のように、長い時間を削って接していただけだったのかもしれない。
こう言いたかった。
「私は、翠といる時間が好きだった。無駄なんかじゃない。大切な、尊いものだよ」
そう言ってしまえば、
何か変わっていたんだろうか。
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