まどろみ3秒前

「テスト、受けてくれる?今から」

「え、今、から?」

「そう。皆終わってんだけど、天塔さんだけね。勉強したいなら明日にする?どうする?成績つきなきゃでね」


先生は、私が休んでいる理由は知っているのだろうか。皆には噂されて知られているが、先生に事情を説明したりしていない。

―明日、起きれるかもわかんないのに。


「じゃー今からします」

「わかった。じゃあ、ちょっと放課後残ってくれる?教室で待っといて」


「はい」と頷いた。先生もわかっているのだろうか。何も勉強していない。が、まあいいだろう。将来とかどうでもいいから。


私は再度黒板に戻る。届かない上の黒板は、ジャンプをして届かせた。消し終わっても、まだ、消し続けた。


「おいテスト15点ー」

「黙れ!お前だって言えないだろぉ!」


まるで小学生のような男子のやり取りが聞こえる。そっか、そんなに難しいんだなぁ…

その高校の偏差値は、普通中の真ん中だ。必死に勉強して、合格した。だけど、高校生になってからはあまり頭に入らなくなった。

そして、日を跨ぐようになってからは、もう何も、何一つ完全に頭に入らなくなった。

耳に入った先生の言葉は、反対側の耳に抜けていく。学校に来る意味ないじゃん、なんて、思ってしまった。




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