好きって言うまではなさない!

プロローグ



「ひなーー!早く起きなさーい!朝ごはん!できてるわよ!!」

目覚ましよりも大きなボリュームで、お母さんの声が聞こえた。

重たいまぶたを必死に開け、ゆっくりと起き上がる。

目を擦って鏡を見ると、大きな寝癖がついてしまっていた。

「あ〜…これとれるかなあ、今日は入学式なのに……」

真新しい制服に袖を通し、顔を洗いにく。

冷たい水が心地いい。

寝癖のついた髪の毛をスプレーで濡らし、櫛でとかしていると、だんだんと落ち着いてきた。

一段落つき、リビングへ向かう。

「あら、新しい制服、にあってるじゃない」

お母さんが優しく笑ってくれた。

「えへへ、そうかな?」

「とても似合ってる…。お父さんにも、見せてきなさい」

「はあい」

お母さんに返事をして、仏壇へと向かった。懐かしいお父さんが写真の中で微笑んでいる。

「どう?お父さん、似合うかな!今日入学式なんだよ、はやいよね!」

返事はかえってこないけど、改めて、頑張ろう、という気持ちになった。

急いで朝食を食べ、髪をツインテールにむすんで、家を出る。


今日は何かいいことが起きる予感!

私、桃園 ひな(ももその ひな)、今日から高校1年生!

「いってきまーす!!」

太陽と桜の香りを吸い込み、私は大きな一歩を踏みだしたのだった。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop