私と彼の溺愛練習帳
帰ろう。
言われて、雪音はキックスケーターを引く閃理とともに歩き出す。
公園から充分距離をとると、閃理はどこかへ電話をかけた。
二、三の言葉を交わし、通話を終える。
「さっきのドローン、内緒ね」
閃理は言う。
「どうして?」
「許可なく公共の場で飛ばしたし、人に向けたから。やってはいけないことだから」
「そう……誰が?」
「正義の味方」
「助けてくれた人にお礼も言えないなんて」
「伝えておくよ」
閃理はふんわりと笑った。
帰宅後、閃理は甘さ控えめのココアを作ってくれた。
ほんのり甘くて温かくて、雪音はほっとして飲んだ。
ソファの隣には閃理が座り、一緒にココアを飲んでいる。
やっぱりきれいな顔だ、と陶然と眺める。
肌もきれいだし、まつげまで美しい。
なによりヘーゼルの瞳が神秘的だった。
「どうしたの?」
視線にきづいた閃理が言う。
「助けに来てくれて、ありがとう」
「そんなの、彼氏としては当然だよ」
「か、彼氏!」
雪音は動揺した。
「違うの?」
「それは……」
「雪音さんは、彼氏でもない男とキスして、それ以上もしようとしたの?」
「違うから!」
「じゃあ僕は恋人だよね」
くすくすとやらわかく閃理は笑う。
こんなにきれいな人が私の彼氏なんて。
雪音の顔がかーっと熱くなる。
「私、あなたのそばにいていいの?」
「当然だよ。いつまでもいて」
閃理は雪音の額にキスをした。
雪音はがばっと立ち上がった。