魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 ソフィーは自分の鍋を混ぜながら、イーダの鍋を覗き込んだ。

「それよりそっちの鍋、もういいんじゃないの? ほら、余計なおしゃべりしてるから……」

 ソフィーの言った通りだった。鍋の中では薬が完成していた。

「ごめんなさーい」

「その鍋を火から下ろして、次の鍋の準備に取り掛かってくれる? どんどん作っていかないといけないから」

「はーい」

 イーダは呪文を唱えて、出来上がったばかりの鍋を自然冷却されるために移動させ、次の鍋の準備に取り掛かった。

 ソフィーは、イーダが手際よく作業するその様子を目を細めながら眺めた。

「でも……イーダもそろそろ一人前ね」

 その言葉にイーダは目を見開いた。
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