魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない
4. 特効薬

4.1

 魔王はベッドの上で身悶えていた。

(やってしまった……『そういうのは追々でいいんじゃないかな?』って言っておいて、その日のうちにって……!)

 あのとき、彼女をどれだけ見つめても同じ熱量で見つめ返してくるから、まず心が動いて──

 それから身体も動いてしまった。

 星空マジックもあったのかもしれない。

 いや、あったのかもではない。あったに違いない。

 でなければ、あんな大胆な行動にでられたはずがなかった。

(それにしたって、『対価をもらおうかな』って……対価でもらうものじゃないだろうが! あれはもっと神聖なもので……)

 魔王は恥ずかしくなって、枕に顔を埋めた。

 しかし視界が真っ暗になると逆効果だった。くだんの場面が映像となって脳内で鮮やかに映し出された。

(だけど言い訳させてもらうと、あのとき王女だって僕のことをすんなりと受け入れたんだよ!)

 そう、彼女がほんの少しでも嫌がる素ぶりを見せていれば思いとどまったはずだ。
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