魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

「まずは特効薬の効果を確かめてもらわないと」

「あっ、そうでした!」

「魔女の君にはこの薬の効果がわかるんだろうけどね」

 魔王はイーダに微笑んだあとで、国王に言った。

「感染者に飲ませてください。ひと粒飲んで半日もすれば斑紋は消えますよ」

「あっ、だったら王女殿下に飲んでもらえばいいと思います!」

 イーダのその言葉に国王は狼狽えた。

「いや、王女に治験のようなことをさせるのは適切ではないというか……ああっ、決して疑っているわけではないのです。気を悪くしないでいただきたい。ただ、立場上……」

(そっか……本来の花嫁であるオリーヴィア王女殿下が早く治ったほうがいいと思って、余計な口出ししちゃった)

「ごめんなさい」

「いいえ、魔女殿はよかれと思って提案してくださったことですから。ですが、そういうことで人選はこちらにお任せいただきたい」

「構いませんよ」

 恐縮しているイーダに代わって、魔王が返事をしてくれた。
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